【雑記】介護職員の給料について

介護職員の給料について

 

給料に正解はない

給料についての考え方は、非常に難しく正解はありません。
介護の給与に関する内容で、本が一冊出来るくらい深い内容ですよね。
あくまでも、個人の考えとしてお伝えします。
介護の給料の高い低いは、仕事の“大変さ”とはリンクしないのではないかと思っています。
もし、仕事の大変さとリンクするのであれば、全ての特養が同じ様に給料が高いはずです。
でも、必ずしも、そうはなっていないのが現実だと思います。
給料を決める要因はいくつかあると思っています。
例えば、法人形態の違いがあります。
介護を提供している法人は複数あります。(個人では介護の指定を受けられません。)
非営利法人・・・非課税 )社会福祉法人NPO 法人・地方公共団体など
営利法人だけど非営利な側面もある )医療法人
営利法人 ・・・課税 )株式会社等 ・・・課税法人
営利法人は、基本的に営利を追求する法人です。一方、非営利法人は原則的には営利を追求しない法人です。
(厳密に言えば、利益が出なければ運営できない訳ですが)
非営利法人の方が、非課税な分、従業員に人件費を還元できる可能性が高い訳です。営利法人は、株主を含め
ステークホルダーに利益を還元することが本来の目的だと考えられます。
では、非営利法人の方が、営利法人よりも給料が高いのかと言えば、求人を並べてみると“実は必ずしもそう
でもない”ことが、求人を見るとわかります。非常に不思議だと思います。
何故か・・・営利法人の方が、企業努力やスケールメリットを活かした営業が出来る違いがあると思います。
社会福祉法人は、非課税な分、非常に厳密な経営が求められます。(毎年、監査があります)
決められたこと以外は、出来ないという縛りがあります。(一部、課税事業が出来ますが)
また、社会福祉法人は、地元に根ざして営業している法人が多いので極端に大きな法人はあまりないと思いま
す。家族経営の延長のような場合もあり、非効率な場合が多くあります。
現在は、特養を運営できるのは、社会福祉法人に限られています。営利法人に運営をさせた方が、効率的な運
営が出来ると思います。実際、内閣府でも特養の民間参入も議論されていますよね。
https://www8.cao.go.jp/kisei/siryo/020723/b1.html
ただし、そこが非常に難しいポイントで、営利法人の場合、利害関係者により”福祉の公平性”が損なわれる恐
れや”撤退の可能性”がある恐れから話が進んでいません。なお、社会福祉法人の場合は、解散した場合、財産
は国庫に帰属するとされています。
結論としては、求人(人を集めること)を含めた企業努力をしている法人の求人が、給料が高いと言えるので
はないでしょうか。


サービスによる違いについて
イメージとしては、
老健・療養型 > 特養 > 在宅の泊まりがあるサービス > 在宅の泊まりの無いサービス
給料が高い > 給料が安い
こんなイメージでしょうか。
給与を決める要因は複雑ですが、一部あるとすれば”需要と供給”になると思います。
老健・療養型」と他の介護サービスの決定的な違いは、『医療に準じているか』ではないでしょうか。
やっぱり、医療の方が介護より給料が高いです。老健や療養を運営するのは多くが、医療法人などの“医療系”
です。それに準じているので、給料が高い傾向があると思います。
後は、収入面に関しても、老健の場合は特養より、単価で 1.2 倍程度はあると思います。
実はこの収入差は、運営をしていく上で、とても大きいと思います。それだけ、従業員に還元できるのが医療
系の介護施設の特徴だと思います。ただし、その分、給料以外のコストも高いのですが。
「特養」の場合、原則は社会福祉法人が運営します。老健ほど専門職を必要としないのが特養です。特養は「生
活の場」、老健は「療養やリハビリ、在宅復帰」なので、役割が異なります。
当然、生活よりは、療養・リハビリの方が収入が高い傾向があります。
介護報酬が改定されるたびに、特養の収入がどんどん落ちていることはご存知でしょうか。
色々な要因があると思いますが、その一つに“特養の政治力の弱さ”が指摘されることがあります。
老健の場合は、絶対に医師がいます。医師は発信力や団結力が強いです。(日本医師会などを見ればわかりま
す)ですから、介護報酬改定の度に、老健協会で科学的根拠を持ったデータを出して、収入の上昇に取り組む
傾向があります。一方、特養の場合、全国老人福祉施設協議会などはそれほどの力が無いようです。ですから、
どんどん報酬が削減されている一因にもなっているのではないでしょうか。
「在宅の泊まりのあるサービス」の場合ですが、これについては、ピンキリだと思っています。
求人を見ると明らかで、有料老人ホームなどではかなり高い求人も見られます。これは先程述べた、営利法人
の企業努力、なのではないでしょうか。一方、グループホームや小規模などは収入が限られますので人件費に
割ける率は低い傾向があると思っています。
「在宅の泊まりの無いサービス」は、なかなか厳しく、どこも給料が安いと思います。
でも夜勤がない分、働きやすかったり、訪問介護などの場合は、時間を選んで働けたりする融通が効く部分が
あると思います。給料が高いけど好きなように働ける…のは、理想ですがなかなかそんなに良い仕事はありま
せんよね。
結論としては、はじめに述べた“需要と供給”ですが、収入が高く高度の知識や技術や連携を求められるキツ
イ仕事は給料が高い傾向にあると思います。一方、時間に融通が聞いたり比較的誰でも働きやすい求人につい
てはどうしても給料が安い傾向にあると思います。
介護報酬の高い低いについて
介護の場合、「定員」によって収入の大部分が決まります。
収入が作られるのは、稼働率*単価=収入です。
介護の場合、医療とは異なり、設備投資や機械を入れたり、医師を増やして収入を上げたり、ということがな
かなか出来ません。加算を算定して…という方法しかありませんが、施設の形態によって限界があります。
特に訪問系のサービスの場合は、「一回いくら」の報酬になるので、頑張って人を増やしたとしても、大部分は
人件費で消えてしまうので、スケールメリットを得られにくいと思っています。結局、生産性を上げる(単価
をあげる)ことは限界があるので、薄利多売でとにかく訪問をしてもらうことしか出来ないのが悩みだと思っ
ています。そうなれば、必然的に給料は上がりにくいですよね。なぜなら、給料が低い人に訪問をしてもらっ
ても、高い人が訪問しても得られる収入が変わらないから、経営者は給料の安い人に訪問してもらいたいと思
うのが普通だからです。
結論としては、施設系の方が稼働も安定している場合も多く、効率的な運営がやりやすいために給料が高い傾
向があると思っています。
ご質問について
仕事がキツイから給料が高い、業務が軽いから給料が低い
というのは、一つの要因としてあると思います!
一方、給料が上がっていく、上がっていかないは、どちらかと言えば法人の考え方に依存する、のではないか
と思います。
処遇改善加算の要件として、定期昇給が付与されました。でも定期昇給って、極端なことを言えば、月 100 円
上げても、定期昇給になるんですよね。ですから、この辺りは、法人の考え方が大きいのではないかと思って
います。
私は今回、様々な求人を調べさせて頂いて、少し衝撃を受けました。
一般的に、介護の報酬は全国どこも大差がありません。(地域区分での高い低いはありますが)
つまり、都市部のように高コスト体質のところより、田舎の方が人件費に割けるコストも高く、待遇も良いに
違いないと思っていたのですが、実は全然そんなことがなかったのです。田舎の方がむしろ、給料が安く休み
が少ない、そんな傾向が見られました。
では、例えば田舎の特養が空室だらけなのかと言えば、絶対そんなことは無いと思うのです。もし空室だらけ
なら、住所地特例を利用して他の地域の人が来て、結果的に埋まるはずだからです。
つまり、何が言いたいかと言えば、田舎のほうが”ゆるい”経営をして、職員の善意に頼っている傾向があるの
ではないかと思ったのです。もしかしたら、働く場がそもそも少ないから、給料が低くても人が来るのかもし
れません。でも、それって経営者のエゴだなぁと思いました。
まだまだ色々と思う所はあるのですが、この辺りで。とりとめのない意見で申し訳ありません。